モード界の皇帝カール・ラガーフェルドの謎に包まれた生涯を追う、本邦初の評伝。シャネル、フェンディのヘッドデザイナーとして頂点に君臨し続けたラガーフェルドにまつわる様々なエピソードを拾いながら、美に貫かれた人生を紐解く。
ドイツの裕福な家庭に生まれ、イヴ・サンローランと同時代のパリにやってきたラガーフェルドは、目覚ましい成功の階段を駆け上がる。その成功の裏側にある知られざるエピソードを、ラガーフェルド本人、親しかった知人友人38 人へのインタビュー取材を通して、華やかな表舞台とその裏側を著者は掘り起こす。ラガーフェルドの美意識の源流には深い教養があり、その教養の元となっている愛読書の数々や、好きだった絵画、映画、交流のあったアーティスト、家具などが本書の中で具体的に紹介され、それらに関する豊富な訳註付き。
ラガーフェルドが生涯でただ一人愛した人ジャック・ドゥ・バシェールとの日々、親友だったイヴ・サンローランとの確執の原因、80 年代のパリ・ファッションシーンの放逸な熱気とその後に続くエイズ禍の悲劇等が、本書の中で語られる。書籍本文に関連する画像や動画をまとめた特設サイトに、帯上のQR コードからアクセスすることで、多元的にラガーフェルドを知ることができる工夫あり。